2009年01月18日

日本の養蚕業

昨日の読売新聞の朝刊に載っていた記事です。

日本の養蚕業


今や日本の養蚕農家は全国でもたったの1100件。そして、全国の養蚕農家の4割を占める群馬県が2005年に行った調査では、その平均年齢は67歳だったそうです。今は2009年だから、当時の皆さんがまだ養蚕を続けていたら、平均年齢70歳を超えたでしょうか。
長野県内でもっとも養蚕農家の多い飯田下伊那地方では、31件あるうち一番の“若手”が68歳だそうです。

というような現状をふまえ、財団法人「大日本蚕糸会」は、これから養蚕を始めようという人に、金額の上限なし、返済不要の助成金を出すことにしたそうです。
養蚕農家で見習い後、独立しようという人が対象で、桑畑や蚕室を作る費用などを最大8割助成し、途中で辞めたりしなければ返済の必要なし。

こんなこと言うのはとっても無責任なんですが……。一人でも多くの人がこの制度を利用して養蚕を始めてくれたらいいな、と思います。

社団法人日本絹業協会が制定した、日本産の絹で作られていることを示す「日本の絹」マークというのがあるのですが、20年度、このマークの認定を受けたきものの反物は、約8000反程度あったようです。
たくさんなのか、少ないのかピンとこない数字ですね。
でも例えば今年の全国の新成人は133万人で、少なく見積もってうち約60万人が女性だったとして、8000反全部が新成人の振袖になっていたとしても、たったの1.3%程度にしかならないということです。

もし需要があったら、こんなに少なくはならなかったんだと思います。安い外国産に押されて減っていったのは事実だけれど、「日本産のいい絹がほしい」っていう需要がもっとあったら、こんなには減らなかったし、これから増えることもあるんだと思うのです。

職人さんの高齢化で、「もうこの人がやめたらおしまい」という織物も、たくさんあります。需要が少ないだけでなく、ものづくりしている職人さんに、十分な収益がもたらされていないと聞きます。それでは、継ごうと思うわけないですよね。

需要が増えること、作り手に十分支払われる仕組みが作られること…。きものの未来は課題がいっぱいです。
でも、なにもかもすっかり失われてしまう前に、少しでも引き継がないと…。もう時間がない!!

きものは日本の伝統だ、いいものはいいんだ、といばっていたところで、習わなければ、着せてもらわなければ着られない衣服の需要が、自然に増えるなんてことあるでしょうか?
着やすい形にする、扱いやすい素材にする、買いやすい値段にする。どこにフォーカスするかはいろいろですが、あらゆる面でのハードルを下げて、入口を大きくすることは、邪道でも無駄でもないと私は思います。

そして、着る人が増えて初めて、作る人が増えるのだと思います。

だから、小梅のきものは「はじめてきもの」。着付けができなくても、誰でも着られるきものと帯だけを扱っているのです。
世の中のきものを全部「はじめてきもの」にしようなんて、思ってない。着たいけど着られない人が、「ほんものきもの」に入るための足掛かりになりたいだけなのです。

一人でも多くの人が、きものを着ること。そして日本の素敵なものが、次の世代にちゃんと引き継がれること。それが小梅の願いです。



にほんブログ村 着物・和装←もしよろしければポチっとお願いします!


同じカテゴリー(つぶやき)の記事画像
15周年ありがとうございます
Love&Kimono vol.12ご報告と、来年からのラブきも
エステと着物のコラボイベント。美へのこだわりにひれ伏す1日
Love&Kimonoご報告と、3月ですが新年の抱負
シルックについていろいろ考えてみた
ありがとうございました!LOVE&KIMONOご報告
同じカテゴリー(つぶやき)の記事
 15周年ありがとうございます (2023-05-17 01:18)
 Love&Kimono vol.12ご報告と、来年からのラブきも (2023-03-18 14:45)
 エステと着物のコラボイベント。美へのこだわりにひれ伏す1日 (2022-06-21 13:13)
 Love&Kimonoご報告と、3月ですが新年の抱負 (2022-03-16 15:21)
 シルックについていろいろ考えてみた (2022-03-07 15:26)
 ありがとうございました!LOVE&KIMONOご報告 (2021-03-17 11:31)

Posted by 小梅店主 at 22:14│Comments(0)つぶやき
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
日本の養蚕業
    コメント(0)