2010年02月08日

2部式について考える 2

 いい天気ですね~、まだ風もないし。
 週末、家族がスキーに行っていたので(私は留守番)、今朝は大量の洗濯物を干しました。お天気でよかったicon01
 
 さて、2部式きものの話でしたね。着てしまうと上下分かれているかどうかはわからなくなってしまう、セパレートのきものです。

 前回、セパレートのデメリットをいくつかあげました。
 でも、いいところもたくさんあるんですよ。何といっても、スカートとジャケットの感覚でスイスイ着られますからね。着付けにかかる時間が圧倒的に短いです。洋服と変わりません。
 それに上下に分かれていると、下半身の動きが上半身に関わってこないので、初心者でも着崩れにくいです。あと、洗濯して干すときに、引きずらなくてすみますよ~。これは意外といい。それと、例えば袖口だけ汚したとかいうときは、上着だけ洗えばいいですしね。これは洗える素材に限りますが。
 いずれにしても、何かと合理的です。
 
 だから、本来のきものへの入口としてもよし、また出先で早着替えしたいとか、もっと気楽にきものを楽しみたい方の一つの選択肢としてもよしなのです。実際、小梅のお客様も、はじめて自分で着るきものとしてお求めになる方と、普通のきものもお召しになる方と、両方いらっしゃいます。

 にもかかわらず、世の中での認知度は高くなく、存在の必然性も低いと思われているフシのあるセパレートきもの。扱うお店も少ないです。なぜそんなにセパレートきものはこの世界で黙殺されているのでしょうか。
 
 おそらくですが、自分で着られる人にとっては必要なく、また自分で着られない人は、着せてもらうか、きものを着ないかのどちらかなので「着付けはできないけどなんとか自分で着てみたい」というニーズは無視されていたのだと思います。

 ちょっと前まで、いえ、多くの人にとっては今でも、きものの情報は、取りに行かなければ得られないようなところに置かれています。洋服だったら、デパートや、ファッションビルを一回りすれば、また雑誌をパラパラめくってみるだけで、今どんな服が流行っているのか、どうやって着こなすのか、簡単に見つけることができます。

 でもきものはどうですか?呉服店に行けば売っているのは知っていても、フラッと見にいって、じゃあこれとこれ、と買い物できるもの、でしょうか?
 偶然、リサイクルショップか何かで、買える値段で気に入ったきものを手に入れることができたとしても、どうやって着たらいいのか?偶然、近所に着付け教室があって、通う時間もあった、偶然、友達や家族に着方を教えてもらえた、というならラッキーです。自分で本やDVDを買う、動画を検索する、そんなふうに能動的に、積極的にきものにチャレンジできる人は、きものを着てみたい、自分で着られたらいいのに、と思っている人の中で、どのくらいいるでしょうか?

 着てみたい、着られたらいいのに、と思う、すべての人が、簡単に手に取り、袖を通すことのできる環境と、きものがあったら……。
 
 小梅は、セパレートや、洋服地のミシン縫製で、日本の伝統的な美しいきものをぶち壊しにしたいわけではありません。むしろ、こうやって洋服ときものの垣根を低くして、たくさんの人がきものに親しめるようになれば、つまりファッションの一アイテムとしてきものが定着してこそ、伝統や、芸術的な本物のきものを未来に残していけるようになるのだと思っているのです。
 きものを着る機会が結婚式や成人式しかないからといって、晴れ着だけを売っていたら、きものは限られた人の贅沢となり、最後にはなくなってしまうでしょう。
 
 もっと着物や着物の情報が、目に入る所に、手の届くところに。
 もっと着物を身近に。

 いいものを、次の世代にちゃんと残してやるために、できることをしたい。そのための方法はいろいろあります。小梅は、セパレートという方法を選びました。みなさんはどうですか?




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Posted by 小梅店主 at 13:17│Comments(4)
この記事へのコメント
ツイッターから来ました。着物来てます!愛知県の着物屋です(笑
小梅さんの思いと私の思いはとても近く感じます。
今までの業界の膿を出すのは今しかないと思います。
って言っても私も10年前まではどっぷりでしたが・・
私の場合はお客様が教えてくれました。
「ふだんから着物を着ているお店人の意見しか聞かない」
それ以来、毎日着物を着ていたら考えが逆転しました。
小梅さんお互い頑張りましょう!
セパレートでもなんでも着物を思う気持ちを多くの人にお伝えするのが我々の今の仕事だと思っています。
Posted by kimono3daime at 2010年02月15日 23:17
初!!同業者コメント!!お待ちしておりました~~!

そうなんですよ、着物業界は、洋服業界の洗礼を受けるべきです。
それでもホンモノはちゃんと残りますよ。ええ、awaiさんにも確認してきました。

希望の光がさしてきましたね。
次の世代の子たちも、ちゃんと着物が着られそうな気がしてきました。
そのとき「つい30年前は、着物って言ったら浴衣か振袖だったらしいよ」なんて今のことが昔ばなしになるといいですね。

前を見て頑張ります!
Posted by 小梅店主小梅店主 at 2010年02月15日 23:32
デメリットを知りたかったんですが?
Posted by 本音デル at 2021年08月05日 01:30
コメントありがとうございます。
お読みいただきましたのは「2部式について考える 2」という記事で、ひとつ前のエントリーでデメリットについてご紹介しております。
https://hajimetekimonokoume.eshizuoka.jp/e522839.html

着物は解いた時に1枚の布に戻ることがメリットと言われておりますが、2部式の場合は上下に裁ってしまうので継ぎ目が増えること、また長着の着付けは帯ほど難しくないため、着られる人には上下に分ける意味がないこと、かと思います。

なお当店の2部式は、広幅の洋服地等も使用しており、型紙使用の洋裁、ミシン縫製で仕立てるため解くことは想定していないため、1枚の布にはそもそも戻りません。

本質的なところはそのくらいで、あとは着る方のニーズによって、例えば長着を着られる方が、もっと簡単に着たいと思って2部式にしてみたら、着るのは簡単だったけど、畳む時紐が付いていて(当店の仕様の場合です)面倒だった、など、どちらを取るかというようなデメリットがあるかもしれません。

あとは長着と同じですが寸法が体に合っていなければどこかしっくりこないことはあるかと思います。特に2部式はほとんどが既製品だと思いますので。。

お答えになりましたら幸いです。
Posted by 小梅店主 at 2021年08月05日 08:16
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    コメント(4)