2008年11月03日
MADE IN JAPAN その2
週末、家族の協力で単独行動が許されたので、映画を2本観てきました!はしごで観るなんて、何年ぶりかしら…。
1本目は『マルタのやさしい刺繍』。スイスの田舎に住む80歳のおばあさんが、若い頃の夢を叶えて手縫いの美しいランジェリーのお店を開く話です。家族やちょっと閉鎖的な村人たちの反発にもめげず、村での需要が少ないとインターネットで紹介して販路を広げます。それはもちろん、映画ですから、よくできたストーリーと言ってしまえばそれまでですが…。
私も、賛否両論あるなかでこの仕事を立ち上げたので、自分に重ね合わせて見入ってしまいました。フィクションでも、80歳のマルタには勇気をもらいました。心温まる、素敵な映画でしたよ!
2本目は『女工哀歌(エレジー)』です。これは、中国のジーンズ縫製工場で働く少女を追ったドキュメンタリーフィルムです。この映画が上映される88分の間に、彼女たちは50本のジーンズを縫って仕上げるのですが、それで支払われる16人分の工賃は1ドル45セントだそうです。納期に間に合わせるためには、深夜までの残業や、貫徹があたりまえ。そのうえ給料が遅配されたり。
農村から出稼ぎで働き始めたばかりの主人公の時給はたったの7円にもかかわらず、ここから寮費や食費が引かれて、居眠りや無断外出などでどんどん罰金が引かれる仕組みです。 このような劣悪な労働状況を暴露する映画にもかかわらず、当の工場主は少女たちの職場や生活の取材を許し、自分もインタビューに応じています。
だから最初は、これは本当にドキュメンタリーなのか?やらせではないのか?と思いながら観ていました。しかし、要するに、もとは市の警察署長だったというこの工場主は、自分が悪いことをしているという意識がないようです。自分は住むところも食べるところも、その上給料までも与えている。どこに不満があるのだ、と。また出稼ぎ労働者は態度が悪く、すぐに自分の出来高をごまかしたり、仕事をさぼったりしようとするから、罰則を与えるのは当然だ、とも。
一方で、映画の中では工場主が欧米の顧客と商談するシーンもありました。工場主は注文を確保するために欧米の顧客の納期やコストに関する厳しい要求にも握手で応えます。そのしわ寄せは、すべて工員に回して。
ジーンズだけでなく、すべてのMADE IN CHINAはこのような労働者の犠牲によって安値で提供されている、と考えてもいいと思います。そのことによって誰が一番利益を得ているのか。メーカーでしょうか。小売業者でしょうか。消費者でしょうか。
私自身は、メーカーであり、小売業者であり、消費者でもあります。一番最初のところにいる、職人さんや、織屋さんの犠牲の上に私が立っていないかどうか、改めて考えさせられました。誰にとっても、正当な利益が支払われているかどうか。そして、買ってくださったお客様にも、正当な価格であるかどうか。
小梅の製品はMADE IN JAPANですが…。
例えば、こういう現実を知ったので、少なくとも自分はMADE IN CHINAは買わないぞと。それが何かの第一歩になるのでしょうか?とても難しい問題ですね。
しかし食品分野ではすでに、トレーサビリティ(履歴追跡)が求められるのが常識になりつつありますし、服飾の業界でも、それがどういう環境で作られたものかということが問われる時代が来るのかもしれません。そうでなければ、彼女たちはいつまでもあのままです。
映画の中の少女たちが元気で明るいことだけが、見る者にとっては救いでした。
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1本目は『マルタのやさしい刺繍』。スイスの田舎に住む80歳のおばあさんが、若い頃の夢を叶えて手縫いの美しいランジェリーのお店を開く話です。家族やちょっと閉鎖的な村人たちの反発にもめげず、村での需要が少ないとインターネットで紹介して販路を広げます。それはもちろん、映画ですから、よくできたストーリーと言ってしまえばそれまでですが…。
私も、賛否両論あるなかでこの仕事を立ち上げたので、自分に重ね合わせて見入ってしまいました。フィクションでも、80歳のマルタには勇気をもらいました。心温まる、素敵な映画でしたよ!
2本目は『女工哀歌(エレジー)』です。これは、中国のジーンズ縫製工場で働く少女を追ったドキュメンタリーフィルムです。この映画が上映される88分の間に、彼女たちは50本のジーンズを縫って仕上げるのですが、それで支払われる16人分の工賃は1ドル45セントだそうです。納期に間に合わせるためには、深夜までの残業や、貫徹があたりまえ。そのうえ給料が遅配されたり。
農村から出稼ぎで働き始めたばかりの主人公の時給はたったの7円にもかかわらず、ここから寮費や食費が引かれて、居眠りや無断外出などでどんどん罰金が引かれる仕組みです。 このような劣悪な労働状況を暴露する映画にもかかわらず、当の工場主は少女たちの職場や生活の取材を許し、自分もインタビューに応じています。
だから最初は、これは本当にドキュメンタリーなのか?やらせではないのか?と思いながら観ていました。しかし、要するに、もとは市の警察署長だったというこの工場主は、自分が悪いことをしているという意識がないようです。自分は住むところも食べるところも、その上給料までも与えている。どこに不満があるのだ、と。また出稼ぎ労働者は態度が悪く、すぐに自分の出来高をごまかしたり、仕事をさぼったりしようとするから、罰則を与えるのは当然だ、とも。
一方で、映画の中では工場主が欧米の顧客と商談するシーンもありました。工場主は注文を確保するために欧米の顧客の納期やコストに関する厳しい要求にも握手で応えます。そのしわ寄せは、すべて工員に回して。
ジーンズだけでなく、すべてのMADE IN CHINAはこのような労働者の犠牲によって安値で提供されている、と考えてもいいと思います。そのことによって誰が一番利益を得ているのか。メーカーでしょうか。小売業者でしょうか。消費者でしょうか。
私自身は、メーカーであり、小売業者であり、消費者でもあります。一番最初のところにいる、職人さんや、織屋さんの犠牲の上に私が立っていないかどうか、改めて考えさせられました。誰にとっても、正当な利益が支払われているかどうか。そして、買ってくださったお客様にも、正当な価格であるかどうか。
小梅の製品はMADE IN JAPANですが…。
例えば、こういう現実を知ったので、少なくとも自分はMADE IN CHINAは買わないぞと。それが何かの第一歩になるのでしょうか?とても難しい問題ですね。
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15周年ありがとうございます
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Love&Kimonoご報告と、3月ですが新年の抱負
シルックについていろいろ考えてみた
ありがとうございました!LOVE&KIMONOご報告
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Posted by 小梅店主 at 23:14│Comments(0)
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