2008年10月29日
MADE IN JAPAN その1
読売新聞の朝刊に、“時代の証言者”という連載があって、ここしばらくはデザイナーの芦田淳さんの連載が続いています。昨日のタイトルは “「国内で縫製」守り続ける” というものでした。内容は、
ファッションの世界でも、国内生産はどんどん減って、日本のブランドでも海外製品の生産が増えたこと。
芦田さんのブランドでは、生地はイタリア製が中心でも、縫製は自社と数十の日本の工場で行っていること。
その理由は、国内の縫製技術が高く、細かなニュアンスや、ショー直前の変更などにも素早く対応できるからであること。
そして文末に「縫製も含めて技術は、作り続けることで伝えていくことができるものですし、向上していくのだと思います。いったん技術が途絶えてしまったら、そう簡単に元通りにはなりません。フランスのオートクチュール(高級注文服)に使われる刺しゅうなどの高度な技術も、使い続けることでしか継承できません。(改行)私が日本国内での縫製にこだわるのは、その意味もあるのです。」
とありました。本当にその通りです。
以前、博多織の織屋さんとお話しする機会があったとき、職人の高齢化の話がありました。「この人が死んだらもうこの織物は絶滅」といった織物がいくつもありますよね、と。それに加えて、「この機械が壊れたら、もうこの織物が織れない」というものもあるということを教えてもらいました。需要が少ないために、その機械がもう生産されていない。壊れたら、直す人もいない。そういうこともあると聞いて、愕然としました。
「ではきものを着る人が増えたら、どうでしょうか?」と思わず身を乗り出すと「着る人が増えたら……、状況は変わるかもしれない」と言われて、絶対着る人を増やさなければと意気込んだものです。
どんなに素晴らしい、芸術的な技術であったとしても、使われなければ廃れます。それが趣味ではなく生業だったりしたらなおさらですね。だって食べていけなければ、別の仕事をするしかないでしょうから。
使い続けることでしか継承できないから国内生産する、という芦田さんの言葉に、勇気をもらった次第です。
きものを着る人が増えれば、技術は継承され、向上する。
私のしていることは、底辺の底辺、海抜ゼロメートルにすぎないけれども、それでも、何かせずにはいられないのです。何もしないで、きものや、それにまつわる技術が失われていくのを、ただ見てはいられないのです。だから、一人でも多くの人がきものを着てみようと思ったり、実際に着たりできるように、私はこの仕事を続けます。
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