2013年07月12日

『紫』を観てきました

梅雨が明けたからか、浴衣や夏着物の準備をされる方が増えてきました。小梅ではこのところ草木染兵児帯が連日お嫁に行っております。こちらの商品は、くしゃくしゃ結んで兵児帯に、半分に畳んで使えば半幅、広げて使えばお太鼓にもつかえ、またほとんどのものが四季を通じてお使いいただける素材感なので、毎年1本ずつ買い足す方も多い人気の商品です。草木染兵児帯自体は定番ですが、色柄は毎年変わって、売り切れると再入荷がありませんので、気になっている方はお早めに!!

また今年の小梅は7/30~8/23まで夏期休業とさせていただきますので、この夏お使いになる場合は申し訳ございませんがお急ぎくださいませ~。

さて『紫』ですよ。東京では半年以上前に上映されたので、ご覧になった方も多いかと思いますが、今、静岡で上映されているのです。

『紫』を観てきました
『紫』を観てきました
『紫』を観てきました

吉岡さんと言えば、私が字引きのように愛用している日本の色辞典の著者でもあり、また小梅がオープン当初から草木染兵児帯を扱う中で「草木染」の説明できない色の魅力を強く感じていたこともあり、万難を排して行ってまいりました。

黙々と行われる作業や、淡々と語られる思いが静かに流れていくだけの、派手さのかけらもない映画です。
それでも「正倉院に残る裂にまだ勝てない」とか「地球の力が弱ってる」とか「昔に比べると同じ色を出すのにも材料が多くいるようになった、色素の量が減ってると思う」とかいう言葉にグサッと来たり、「地球を支配できると思ったのは間違いで、人間も自然の一員で、自然からいろいろいただいて生きているということを自覚しないといけないと思う」というような言葉に、吉岡さんが闘っているのはそこなのかと頷いたりと、初めて聞く話ではないけれど、やっぱりそうかと改めて唸ってしまいます。

イギリスへ行って講演するシーンがあり、その中である大学で草木で染めたオーガンジーや絹糸を見せていました。そのあと、おそらく学生ではなく先生だったのではないかと思いますが、代表してインタビューを受けていた女性が感想を聞かれて「ピンクに染められたオーガンジーを見てびっくりした。あれを見たら、化学染料なんかいらないとみんな言うわね」というようなことを言っていました。また「ピュアな色だと思ったわ、でもそのなかに複雑にいろんな色が重なっているように見えるのよ」とその女性が言うと、隣にいた男性が「そう、まるで生きているみたいに!」と言っていて、このシーンでは思わず涙が出てしまいました。
そう、そうなのよ!!という実感であったり、化学染料なんかいらないと思わせるほど美しく鮮やかな色が作れるのに、それを捨ててきたことに対する怒りとか焦り、そういうものが一気に押し寄せて、ぶわっと来てしまったようです。一般的には「そこ?」というような私だけのツボだったかもしれませんが…。

そうなんですよね。小梅の草木染兵児帯を紹介するときにもいつも言うことですが、草木染はなぜか何色に合わせても絶対邪魔しない。ピュアなのに、いろんな色が重なっているように見えるから、なのかもしれません。物言わぬ植物からもらう色だから、誰ともケンカしないのかも、と思うこともあります。その健気さに、いつも心打たれ、感謝の気持ちが湧くのです。

小梅の兵児帯を染めているのはラオスの農家の人ですが、これからも自然からいただくこの帯を、大事にしていきたいと強く思いました。



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Posted by 小梅店主 at 11:56│Comments(0)つぶやき
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