2011年04月06日

震災

最後の更新は3月9日ですから、約1ヶ月間のご無沙汰でした。にもかかわらず、その間にもブログやショップにアクセスしてくださった方、お買い上げくださった方、ありがとうございます。

3月11日、東日本を地震と津波が襲い、大変多くの方々が亡くなられました。3週間以上たった今でも、すべて悪い夢だったら良かったのにと思ってしまう。でも現実です。

このような大災害に直面して、多くの人が被災地や被災された人のために何かできないだろうかと考えましたし、また行動を起こした方も大勢いらっしゃいます。もちろん、私も考えました。

新聞には今も毎日、全面の半分から3分の2くらいのスペースを割いて“亡くなられた方々”として何百人ものお名前がギッシリ掲載されています。毎日、毎日です。最初から合計したら、いったい何面分になるのでしょうか。
私はそのあまりにたくさんのお名前が並んでいるのを見るたびに、目の前に海のようにどこまでもザーッと墓標が並んでいるように感じてしまうのです。だってそうでしょう?それはただの活字の並びではないんです。その小さく記されたお名前の方、一人ひとりが、この震災で命を落とされた、ということを表しているのですから。

津波で町ごと何もかも、洗いざらい流されたところもありました。未だ水没していたり、建物に車が突き刺さっていたり、船が道をふさいでいたり、あるいは見渡す限りの瓦礫、瓦礫の風景。写真や映像をごらんになった方も多いと思います。そこへ、いなくなってしまった家族を捜しに来て、立ちつくしている人がいます。想像してみてください、それがあなただ、と。
あの津波から、自分は何とか助かった。だけど、あなたの子供や、親や、夫や兄弟は、まだ見つからない。この瓦礫のどこかに、埋まっているかもしれないと思いながら、どうすることもできずに立ち尽くしているところを。あるいは、放射能が漏れているから、遺体を探すことも許されずに避難を強いられているところを。
家族が、帰るはずの時間に帰ってこないだけで、事故にあったんじゃないか、何かあったんじゃないかと考えるのは当たり前です。それが、あの壊滅的な被害を自分も体験して、かつまだ家族に出会えないという不安と絶望の中に自分がいると、想像してみてください。
頭がおかしくなりそうです。

そんな方たちのために、私に何ができる?きものに、何ができるのでしょうか?
支援は、必要に応じてあるべきだと思っています。あの瓦礫の前に立ち尽くす方の本当の必要とは「私の家族はどこ?家族を、返して!」ということではないか。だとしたら生きている家族を見つけてあげることはもちろん、私には行って瓦礫をかき分ける環境も力もない。ましてその方に対して、きものが何になるというのか。そして、いくら想像しても、何も失っていない私には、実際に被災された方の絶望や悲しみを、本当に理解することなど…。

ああ、何もできないと思ったのです。きものも何の役にも立たないと思ったのです。だから、ただひたすら3週間、無力感にさいなまれながら、心を震わせていました。
とても「どうぞ、きものを買ってください!」「さぁ、きものを着ましょうよ!」なんて言えなかったのです。
それがこんなに長く更新が滞ってしまった理由です。

でも、何もしないでいても、時間だけはお構いなしに過ぎました。
4月になって、学校や新生活も始まります。
世の中ではテレビ番組やCMも、だいぶ以前の内容が戻ってきています。
私が立ち止まっていても、復興の足しにはならない。
私には、被災された方のためにできることは未だ募金以外に思いつかないけれど、自分のために、自分の仕事をすることにしたいと思います。
それを被災地のためにとか復興支援などとは言いません。
募金も、仕事も、私がしたくてするだけだからです。



Posted by 小梅店主 at 02:12│Comments(2)
この記事へのコメント
同感です!
たくさん仕事して税金を納め、、義援金を送ることも支援だと思っています。
Posted by MARUMIRUMARUMIRU at 2011年04月06日 12:59
MARUMIRUさん

コメントありがとうございます。
私は、たくさん仕事をして税金を納めることを、支援と結びつけたくはないんです。復興のためじゃなかったら仕事をしないのか?そうじゃなくてもする仕事です。
では支援したくないのか?とても支援したいんです。だけど、自分のすることを、支援だ、復興のためだと言うことには抵抗を感じます。言うほどのことか、と思うからです。
自分のできることが、この巨大な災害や、大きな悲しみの前においてはあまりにも小さすぎて、ささやかな義援金を理由に「自分は被災地のために、これだけ払った、これだけした」と思うことさえ、申し訳ないような気がするからです。
だから、私は、自分のために自分の仕事をすることにしたんです。それが一番、嘘じゃないように思えるから。
Posted by 小梅店主 at 2011年04月06日 15:28
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